「Art Collaboration Kyoto(ACK、アートコラボレーション京都)」は京都発の世界とつながるアートフェア。3年目を迎えたことしは国立京都国際会館(京都市左京区)で10月28日から3日間、開催され、国内外のコレクターが集まりました。現代アートの展示・販売が主な目的ですが、アートを通じた連携や交流も大切にしています。今回、「つくる」と「みる」をテーマにキッズプログラムが行われ、子どもたちと一緒に参加してみました。
「つくる」企画は、彫刻家で京都市立芸術大学の准教授でもある金氏徹平さんが今回の講師です。金氏さんの代表的な立体造形シリーズ「White Discharge(ホワイト・ディスチャージ)」を卓上サイズで作ってみる試みで、材料はどこにでもある日用品です。
自宅から持ってきたもの、会場に用意されたもの、お気に入りを見つけて接着剤でくっつけていきます。お子さんの「お玉、ここに付けて」の要望に、お母さんは悪戦苦闘しますが、みるみるうちに立派な立体造形が完成しました。みんな個性的で、思ってもみない形が生まれました。
次に、出来上がった作品に、上から白い石こうを流します。1人の子どもは「雪のおかわりちょうだい!」とクリームのように何度もかけ、見えなくなる物体に名残惜しそう。小さなアーティストたちはどんどん盛り上がって、顔も服も白くしながら作品を仕上げました。
「みる」企画では、京都芸術大学のアート・コミュニケーション研究センター(ACC)のガイドスタッフと会場を巡り、本物の作品を「みて・感じて・おしゃべり」しようという対話型鑑賞が行われました。
韓国人アーティストのペ・セジンさんの陶器を囲んで、「何に見える?」の問いかけに、「アイスクリーム!」「カップケーキ!」「ハチの巣!」の声が。次から次へ、思いのままの感想が飛び交います。
インドネシア人アーティストのシャイフル・アウリア・ガリバルディさんの白い造形には、さっき自ら作った石こうの作品に似ているからか、親しみをもって見つめます。かわいらしい訪問者に外国人バイヤーも集まり、思わず笑顔があふれました。
室内に入ると、大きな丸いピンク色の敷物の縁に、たくさんのはかりが円形に並べられた作品。それぞれに食器がのり、箸やスプーンなどでつながっています。中国出身で日本を拠点に活動するアーティスト、潘逸舟さんの展示は独特の存在感。子どもたちは最初、時計と思っていたようですが、ものの重さを量るものだとわかると、その種類や意味が気になりだしました。「1つ、違うものがある」「何を量っているんだろう」と、いろいろ疑問が湧いてきてガイドスタッフに問いかけます。
子どもたちのアートに対する感じ方はとても自由でした。でも、その自由さを忘れないことが大切なように思います。アートを通じて、子どもたちの感性に触れる『ハレの日』な一日でした。