REPORT レポート

地域に根付く伝統文化を紹介「京都伝統文化の夢舞台」 京丹後市峰山町に見に行ってきました♬«٩(*^∀^*)۶»♬

京都府内の各地域に伝わる伝統芸能を紹介するイベント「京都伝統文化の夢舞台」が11月11日、京丹後市峰山町の府丹後文化会館と隣接する峰山地域公民館であり、見に行ってきました。多くの子どもたちがそれぞれの地元に根付く踊りや舞、祭り囃子(ばやし)を披露、まさに「ハレの日」をステージで表現し、来場者から大きな喝采を浴びていました。

この催しは、各地に伝わる祭礼行事や民俗芸能の継承に携わる子どもたちの発表の場にするとともに、来場者が多様な文化に触れる機会にしてもらいたいと、京都府などでつくる「文化芸術発信強化実行委員会」が毎年府内を巡回して開いています。

宮津おどり振興会の子どもが演じた「子供歌舞伎 寿式三番叟(さんばそう)」

今年は、京丹後市のちりめん小唄踊り保存会や宮津市の宮津おどり振興会、舞鶴市の吉原太刀振(たちふり)保存会、亀岡市の亀岡祭山鉾連合会・三輪山保存会など4団体の発表に加え、プロの能楽師や鼓方(つづみがた)らによる能「敦盛」も府丹後文化会館で演じられました。

軽やかな祭り囃子を演奏する亀岡祭山鉾連合会・三輪山保存会のメンバーたち

中でも、地元・京丹後市のちりめん小唄踊り保存会による「丹後ちりめん小唄」踊りは、会場の注目を集めました。この踊りは、絹織物の「丹後ちりめん」を織る織機の「おさ」が行き交う様子や、ちりめん独特の豊かな風合いを動作で表すものです。「おさ」とは、糸の目を詰めるためのくし状の道具のことです。

正絹で作られた、鮮やかな朱色の着物を着た小学生ら4人の女子が三味線や太鼓の音色に合わせ、あでやかに踊りました。柔らかな腰の動きや足の運び、しなやかな手指の所作…。江戸時代に京都・西陣から丹後に制作技術が伝えられて以来、創業300年の歴史を誇る「丹後ちりめん」の特徴や魅力を、体全体を使って表現しました。

あでやかに丹後ちりめん小唄踊りを披露する小学生たち(京都府丹後文化会館)

踊りを披露した京丹後市立網野中2年の志水優芽さん(14)は「丹後ちりめんの着物は肌触りがよく、着心地がよかった。とても緊張しましたが、このような大きな舞台で踊れてうれしいです」と話していました。

一方で、舞鶴市の吉原太刀振保存会による太刀振りは勇壮な舞でした。市内の吉原地区に建つ朝代(あさしろ)神社の祭礼に奉納する民俗芸能です。その由来は、江戸時代の関ケ原の戦いの前哨戦で、舞鶴市にあった田辺城が攻められ、城主の細川幽斎(ゆうさい)が籠城した際、加勢した吉原の漁師らの功績が武道の形で伝わったとされます。地元では4年に1度演じられており、京都府の登録無形民俗文化財にも指定されています。

この日のステージでは、小学生から高校生までの8人が2人1組になり、4演目を披露しました。太鼓や笛の音色が響く中、刀やなぎなたを手に豪快に組み合い、「サァ」「エイヨー」などの威勢の良いかけ声とともに演武の形を決めていきます。

なぎなたを持ち、迫力ある演舞で会場を圧倒した吉原太刀振保存会の高校生たち

特に、なぎなたを持って向き合った高校生らは、ともに息を切らしながら左右、前後に大胆に体を動かし、激しい闘いを再現しました。出演した鯵本捺也さん(18)は「2人で息を合わせ、多くの技を成功させることはなかなか難しいけれど、技がそろうと達成感があります」と、やりがいを語ってくれました。

お隣の峰山地域公民館では、伝統工芸・芸能などの体験教室が催されていました。ワークショップ形式で、ミニ提灯(ちょうちん)作りや組みひもミサンガ作り、金彩ハガキ製作のほか、宮津おどりや能の体験会もありました。

写真左=組みひもミサンガ作りでは子どもたちが思い思いの一品を作った 写真右=三味線の音色に合わせ、宮津おどりの所作を学びながら踊る参加者ら

その中で、提灯作りは自分の好きな和紙と柄を選んでオリジナルの一品を作るもので、親子連れや小学生らが夢中になって取り組んでいました。この教室を開いた提灯職人の小嶋俊さん(38)=京丹後市網野町=は「子どもたちと一緒に提灯を作ることはとても楽しい」と笑顔で話し、参加者に作り方の手順やコツを熱心に教えていました。

ミニ提灯作りを楽しむ子どもたち(京丹後市峰山地域公民館)

故郷の伝統を受け継ぎ、次代に残そうと励む子どもたちの真剣な姿にエールを送る催しでした。さまざまに息づく伝統の文化や芸能を通し、あらためて京都府内各地の魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。