
長い年月の中で、茶道具は多くの人の手を経て、守り受け継がれてきました。その間、幾度となく破損の危機に晒されますが、戦乱や災害、経年変化などにより本来の姿形を変えた後も、丹念に繕われることで新たな魅力を放つようになります。また、繕いを景色として取り入れた茶道具も誕生しました。それらからは、所有者の道具への愛着や好みを窺い知ることができます。
本展では、金継ぎ・鎹(かすがい)継ぎ・呼継ぎ・編み直しなど、さまざまな技法で繕われた茶道具を紹介し、今日の姿に至るまでの歴史とその魅力に迫ります。茶道具のあり様に寄り添い続ける茶人の思いや、繕いの痕をもいつくしむ美意識を見つめ直す機会となれば幸いです。